歌川豊国 浮世絵美人画「えり洗い(額入り)」

40,700(税込)

遺珠刊行会「秘蔵 浮世絵美人画撰」

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000000000091
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歌川豊国 浮世絵美人画「えり洗い(額入り)」

歌川 豊国 浮世絵美人画「えり洗い(額入り)」の詳細

半裸の肌もあらわに、盥を前にした美人が、手拭でえりを拭い、髪油やえり白粉を洗い流すなやましいポーズは、写実意識を増した後期浮世絵美人画の好画材であったらしく、多くの浮世絵師が手がけている。

浴場でなく座敷でのえり洗い図は、玉川船調あたりが早い所であろうか。
ただ舟調の図では、えり洗いという動作の描写が主眼で、少しく説明的な感じが揺洩していた。
これが、この豊国の図になると、体のくねらせ方、衣紋の乱れなどに、ぐっと色っぽさを増し、美人の肉体の実在感も前面に押し出されて来る。

切れ長でやや吊り上がり気味の目付きは、文化中期の、張りと婀娜とを兼ね備えた江戸前美人を象徴する。
繊細な彫師の技は睫毛まで彫り分け、いやが上に真実感を強調している。

文化年間、生活感情を表現するリアルな様式に変化した豊国が、その様式の長所を十分に発揮した作品ともいえよう。
そしてこの嬌艶美を発散するポーズが、後代頻出するえち洗い図の手本とされている点はとくに注目されるところである。

愛弟子の国貞の五渡亭時代の作「縁結び女夫評判 こたつの火性」、同人が三世豊国になってからの「江戸名所百人美女 御殿山」、溪斎英泉の「五十三次 大磯駅」など、いずれもこの初代豊国作品の構図の模倣が脱化と見られるものである。

当図の余白に併刻した改印(検閲許可印)に、極字印の他に「津?酌」とよめる副印があり、これは小伝馬町三丁目住の行事津村屋三郎兵衛」の印である。 上述の両印を用いた時期は文化九年頃と見られ、この絵の制作年代がほぼ推定される。

本図がシリーズの中の一作か、単行作かはまだ調べ得ていないが、植物を図案風に添えた様式から見てシリーズもののように思われる。
現に版元は違うが、同絵師の作で別の行事副印を持ち、美人に植物を図案風に添えた同時期頃の図を見ているから、あるいは、版元を分けて出させたことも考えられる。

ともあれ、初代豊国の文化年代の美人画中で注目される作品である。

この商品の素材やサイズ

商品名歌川 豊国 浮世絵美人画「えり洗い(額入り)」
材質和紙
サイズ縦36.3cm × 横24.6cm
前田謙太郎
入江義光

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