今回の作品でドラえもんたちが登場するのは歌川広重の『名所江戸百景』の代表作の一つ「浅草金龍山」です。
歌川広重は葛飾北斎と並ぶ、浮世絵界を代表する絵師であり、世界的にもその人気は非常に高く、印象派のゴッホは広重の浮世絵を模写した作品も残していることで有名です。
「名所江戸百景・浅草金龍山」は、紅白のコントラストが美しく、西洋の遠近法を大胆に応用して空間の広がりや奥行きを感じさせる大胆な構図と、赤・緑・黄などの色彩をバランス良く配することで見事な雪景色を表現。
さらに雪の描写には「空摺り(からずり)」と言う絵の具を付けずに摺る技法が用いられており、エンボスをきかせることで積雪の量感が巧みに描出されています。
担当浮世絵師のコメント
金龍山は浅草寺の山号(称号)で、金鱗の龍がここへ舞降りた伝承が元となりました。
提灯の文字は“志ん橋”と書かれ、新橋の信徒が奉納したものです。
江戸庶民にとって身近で自慢の場所でもあり、また、江戸の浮世絵職人も数多く生まれた、当時も今も江戸浮世絵木版画の聖地のような場所です。
見事な雪景色を構える浅草金龍山に笠を被り冬の着物の装いで訪れたドラえもんたち。
色とりどりの優しい配色が雪景色をさらに鮮やかに彩り、彼らの楽しげな姿にほっこりとさせられる一枚に仕上がっています。